PARTNER PRODUCER

INTERVIEW

エモーショナルデザインがつながり新しい価値観にシフトする社会に

天野 譲滋
株式会社ジョージクリエイティブカンパニー 代表取締役社長 株式会社オレンジ 取締役

「デザインビジネスプロデューサー」として、過去には、全国展開のライフスタイルショップ「GEORGE’S」や東京にあるインテリアショップCIBONEなど、多くの人に支持されるショップをプロデュースしてきた天野さん。そんなご本人に、お仕事のこだわりや、コロナ禍の今起こりつつある価値観の変化について伺いました。

「デザインビジネスプロデューサー」としての仕事

デザインとは、人に物事を伝える手段の一つだと思います。

かっこいいデザイン、きれいなデザイン、美しいデザイン、わかりやすいデザインといろいろある中で、僕はデザインを切り口にリアルな売上と利益を上げていく提案や施策をしていくことで「デザインビジネスプロデューサー」と名乗っています。あまりない仕事のスタイルだとは思いますが、これまでの流れの中で最良の選択を都度しながら、経験も合わせてひとつひとつの積み重ねてくることで今のやり方が生まれました。

そこには様々なアイディアが必要なので、常に好奇心をもって色々な人に会い、色々なところに行って、見て、聞いて、それを一つずつ蓄積していっています。提案のときにはその引き出しの中から情報を掛け合わせ、ある意味合わせ技のような感じで提案をしています。

またデザインをするうえでは、空間でもグラフィックでも、いつも、人の感情の琴線に触れて、気持ちを動かすようなエモーショナルなデザインを心掛けていますし、それを求められる世の中なのかなと感じています。だからかっこいいだけでなくて、それを持つこと、見る事によって、人の心が少しでも豊かになればなと思っています。

もう一点、常に意識していることとして、僕は昔からショップをやってきたので、店舗以外の仕事でもそうですがクライアント・消費者に対して常に半歩先の提案をするようにしています。2歩3歩進み過ぎていると難解になってはっきりと売れなくなってしまったり、人が来なくなったりしてしまう。今のライフスタイルから半歩くらい先を提案するお店、商品がポイントかと思います。半歩だとわかりやすいし、手が届きやすいんではないかなと。例えば、2011年にオープンさせたCIBONEという店では、CIBONEなりの審美眼で1本50円のボールペンから数百万する家具まで隔たりなく取り扱い、常に半歩先のライフスタイルを提案してきたことがお客様に評価されていると実感しています。

エモーショナルデザインな民藝工芸品 暮らしを上質にしてくれるアイテムを日常に取り入れてみてほしい

CIBONEで取り扱っている商品の中には、民藝工芸品もありますが、最新のモダンな作品と隔たりなくミックスした形で置いていて、そのコーディネートの妙みたいなものがお客様に支持されよく売れています。先ほどの話に繋がりますが、民藝工芸品の伝統的な技術・デザインには本当に感動させられるし、気持ちを動かされる、エモーショナルデザインだと思います。作り手がどういう想いでそれを作ったのかがよく伝わってくるのでそこが一番の魅力ではないでしょうか。その想いを受け止めながら、きちんとその製品を日常の中で使ってあげる。そうするといつもの暮らしが少し豊かに上質になる。普段、あまり一般消費者と民藝工芸品の間に接点がないので、価格が高い商品だとアートピースと捉えられてしまいがちです。でも本来道具として生まれてきた物なので、使ってあげる、愛でてあげることが一番重要だと思います。店舗では日常の中で民藝工芸品を身近に感じてもらえるよう、今のライフスタイルにアジャストさせるような提案を常に心がけています。

ただ、民藝工芸品を普段の生活に取り入れるためには使う側の努力も多少必要です。いい商品は多少値が張りますし、電子レンジが使用不可な漆器など不便なところがどうしてもあります。そこをお金がないから、不便だからと安いプラスチック製品を選ぶのではなくて少し日常に取り入れる努力をしてみると、商品が自分に馴染んで愛着が湧き生活が少し豊かになる。それが大事なんじゃないかと思います。

一から作るオリジナルなモノの価値

TSUKURIBAのサービスを通じて、一から作るオリジナルのモノは、自分の想いや、自分の想像を職人・作家と形にしていくということで製品に愛着が湧くと思います。そのような製品は、作り手の想いが買う人もらう人に伝わっていきやすいと思うので、そういう意味では、エモーショナルデザインがどんどん繋がっていく仕組みだと思います。

現代は、モノで溢れかえっているので、次に人が求めるものは、自分の気持ちが動く、例えば自分の気に入った民藝工芸品のお茶碗でご飯を食べる喜びとか、そういうものしかもう残っていかないのではないかなと思います。既存の製品でなく、作り手の想いが伝播しやすいオリジナル製品はそういう意味でこれからの時代に受け入れられやすいのではないでしょうか。

コロナ禍になり在宅で家にいる機会が増えたことで、皆さん、自分のこと、家族のこと、地域のこと、日本のこと、世界の事、地球のこと、色々なことを考える時間ができ、その中で自分は何ができるのか、考えた人も多いと思います。多少個人差があると思いますが、じゃあ、自分の体にいいものを食べようとか、地球にやさしいものを選ぼうとか、社会の為に還元できるものを買おうとか、これまでと違う価値観にマインドシフトした人が多いのではないでしょうか。おそらくそういうものが今後のマーケットの中でも求められるし、お客様も買うんじゃないかなと思っています。大量生産、大量消費、値段が安いから買う、使い捨てで便利なものを選ぶという時代ではないと思います。自分の愛着が湧くものを長く使ってあげる。既存の製品ではなく、一から作ったオリジナルのモノをだと贈られた方も絶対愛着が湧いてきますよね。それを長く使うことによって、大量消費、大量生産のサイクルから外れてSDGsの取組が加速していく社会になってくれればと思います。

天野 譲滋
株式会社ジョージクリエイティブカンパニー 代表取締役社長 株式会社オレンジ 取締役

話題性と売れる物販や飲食のショッププロデュース、メーカーとデザイナーをディレクションした売れる商品開発、リアルな企業戦略プロモーションやマーケティングを多数手がける。 前職では、ライフスタイルショップのシボネと国立新美術館のスーベニアフロムトーキョーや全国に多店舗展開のジョージズを創業。

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