1946年の創業以来、毎日木と向き合い、木を削り出し、挽(ひ)き続けている木地師（きじし）の職人集団
全国の木工芸品業界から〈陰の立役者〉と言われる彼らの山中の木地の伝統的な技術は日本一と言える
素材には国産木材だけを使い、木目(もくめ)や節(ふし)の特徴など木が持つ自然本来の色味や癖を最大限に活かす計算が施された仕上げはとにかく美しい
細いラインや複雑な直線、極限まで厚みを薄くする加工を作品に施す匠頭漆工の強みはそのような難易度の高い特別な逸品を大量生産できる妥協のない確かな技術とマンパワーがあること
近年では今まで情緒的理由で破棄されてきた木材を生まれ変わらせるプロジェクトにも取り組んでいる

剣道、柔道、空手など日本の伝統文化である武道を大昔から支えてきた三河木綿の始まりは室町時代
長年培ってきた、三河木綿の武道着の縫製と刺し子織りの技術を活かし「武道の経験がない人にも日常生活で日本人の武道精神を思い起こして欲しい」という想いでバッグブランドを立ち上げたタネイ
時代の変化やニーズに合わせて ファッション性も兼ね揃えた‘進化するモノづくり’を続けてきたタネイの商品は伝統をより身近に新鮮に楽しませてくれる逸品　
凹凸のある立体的な生地は 耐火性もあるとても頑丈なものだが、しなやかで優しさとぬくもりのある手触りが特徴

武士にこよなく愛された東京生まれの染物、江戸小紋
遠目でみると無地に見え、近づくと柄が見えるという奥ゆかしさのある武士たちのたしなみは贅沢を禁止されていた町人も密かに楽しむお洒落として大流行
家紋や名前から花や草木などの自然、職業や趣味を表す道具、語呂遊びなどをモチーフにしたユニークなデザインが次々と生み出され発展していった
そんな粋な歴史をもつ江戸小紋の貴重な手彫り型紙を12万柄も保有する富田染工芸が有するのは、日本唯一の両面染めの技術
数百ミクロン単位で染料を操り、全く異なる柄と色を片面ずつ染めるという熟練した職人の手仕事は、大胆でありながら繊細で美しい作品を作り上げる

日本伝統工芸展、東日本伝統工芸展、上海国際陶芸展など数え切れないほどの受賞陶歴を持つ羽石氏は顔料を使わず、火と木が作り出す色だけを使い作陶をする伝統工芸士

40年間土と火に向き合ってきた経験と技で 様々な色味や表情を作り出す
古墳時代から存在する薪を燃料とする薪窯を使い、高温で焼成する「焼締め」と呼ばれる手法を使った力強さある焼き物は、5日間かけてじっくり焼き上げられる窯変と呼ばれる窯の中で舞い上がった灰が高温で溶け、表面に付着することで生まれる色の変化により予測できない自然界の姿を写したような深い味わいの作品が生まれる

人と人、命や大事なモノ・コトを繋げてきた1500年の歴史をもつ組紐
和装時に使う帯締めのみならず 時に甲冑や刀などの武具の一部として、また戦時中はパラシュート紐の代用品としても使われてきた
龍工房は現代の名工・福田隆のもと糸の染色からデザイン、組みまで一貫して手がける数少ない工房
350種にも及ぶ組み上げ手法を巧みに操りながら美しい組紐・帯揚げを何代にもわたって作り続けている
「進化する伝統、水と空気以外なんでも組む」という精神から生み出されるさりげない「粋」
彼らの作品が醸し出す気品と創造力は 国内外の高級ブランドや企業から高い評価を得ている

能登半島の港町、輪島市は漆器産業で最初に重要無形文化財に指定された‘輪島塗’の産地

分業生産が主流の漆器業界で、確かな腕をもつ木地師(きじし)と漆師(ぬし)が集まり一貫生産体制をとる輪島キリモト
デザイン性の高いオリジナル商品を生み出してきた輪島キリモトのモノづくりは 素材の準備から始まる
木を落ちかせるために天日3年、長いものは20年かけて最高の状態を作る

手間をかけた大切な木材に 木地師が実用性と形状美を兼ね揃えたデザインを施し、漆師は江戸時代末期から引き継がれる巧みな技法や材料を使って豊かな表情を与える

手にとった瞬間から「長く愛用したい」と思わせる美しい手仕事がここにある